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コラム

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「細胞診」ってなに?

がんや口の中の病気を調べるためには、いろいろな仕掛けがいります。
中でも口腔がんに代表される、やっかいな病気を診断するためには簡単で、 確実な方法が求められます。細胞診は、口の中の「何か変だな?」という場所を、 歯間ブラシなどの柔らかなブラシでこすり、獲られた細胞を顕微鏡で観察し診断する技術です。
これは擦過(さっか)細胞診といって、子宮頸がんではもっとも一般的な診断方法です。
最近では液状化検体細胞診Liquid based cytology(LBC)といった、 獲られた細胞を液の中にリンスし固定する、確実な標本作製法も使われるようになりました。
各地で行われるようになった口腔がん検診にも、徐々に使われはじめています。
口腔がんは、眼で視て、触っても熟練した先生ならわかる場合が多いのですが、 より確実で科学的な根拠となると難しい場合もあります。

細胞診は、日本臨床細胞学会が認定した細胞検査士という専門の臨床検査技師がスクリーニングし、 細胞診専門医や細胞診専門歯科医が最終診断をするといった、 ダブルチェックが行われている長い歴史をもった診断技術でもあります。
スクリーニングとは、より精密な検査の前に行われる「集団に網をかけて怪しい病気をすくい上げる」ことなので、 口腔がんを早期に発見するにはうってつけの方法と言えるでしょう。
このLBCという、痛くない、素早くでき、今までよりも遙かに確実な方法で、 口腔がんで苦しむ人やご家族が減ると良いなと思っています。

図は、歯間ブラシで舌の横を擦過しているところです。表面の細胞が採取されます。 細胞診の詳しい話や採取法の動画は、 https://oral-cancer.jpをご覧ください。

著者プロフィール

東京歯科大学 市川総合病院臨床検査科
客員教授 歯学博士
田中陽一 (たなか よういち)

1974年 3月 東京歯科大学卒業
1974年 5月 東京歯科大学病理学教室第二講座助手
1977年10月 イタリア政府奨学金留学生として留学
1979年10月 東京歯科大学病理学教室第二講座講師
1987年 8月 慶應義塾大学中央臨床検査部病理助手
1994年 8月 慶應義塾大学医学部専任講師
1998年10月 東京歯科大学市川総合病院臨床検査科助教授
2006年 4月 東京歯科大学市川総合病院臨床検査科教授・病理検査室長
2015年 4月 東京歯科大学市川総合病院臨床検査科客員教授(現在に至る)
歯科医師、歯学博士、死体解剖医(病理)、
日本病理学会認定口腔病理専門医・研修指導医、日本臨床細胞学会細胞診専門、
NPO法人口腔がん早期発見システム全国ネットワーク副理事長など