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コラム

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歯周病①

ブラッシング(プラークコントロール)は本当に歯周病に効果がありますか?

ブラッシングとは歯磨きのことで、プラークコントロールともいいます。
プラークは歯の表面にみられる付着物を意味しますが、単なる歯の汚れや垢(あか)というよりも沢山の細菌がパックされたもので、歯周病の原因と考えられています。
ブラッシングをするとプラークの量を減らし、歯肉の炎症をやわらげる効果があることを明らかにした世界的に有名な研究があります。
今から50年ほど前、Löeというデンマークの先生が行なった実験です。
実験に協力したのは歯学部の学生さん達で、彼らに2週間、ブラッシングしないで過ごしてもらい、プラークの量・種類(プラーク指数と表します)と歯肉の炎症の程度(歯肉炎指数と表します)を調べました(図)。
すると1週間もたたないうちに、学生さんに歯肉炎の症状が見られるようになりました。
しかし、2週間後に彼らがブラッシングを再開すると、症状が見られなくなったそうです。
プラークの量もブラッシングを中止している間に増えて、7日までに歯肉炎が引き起こされました。
しかし、ブラッシングを再開するとたちまち、プラークの量は減少しました。
 つまり、プラークが除去されれば、歯肉炎はすみやかに消退することを示しています。
この研究は、ブラッシング(プラークコントロール)が歯周病の予防・治療に効果があることを全世界に示した画期的なものでした。

図はブラッシングの中止および再開によるプラークの量(プラーク指数)と歯肉炎の程度(歯肉炎指数)の変化を示します。
健康な歯肉をもつ学生さんが、ブラッシングを中断すると、①歯の表面にプラークが貯まり、②全員に歯肉炎がみられ、③ブラッシングの再開によって歯肉がもとの健康な状態に戻ったことを表しています。

著者プロフィール

下野 正基(しもの まさき)

東京歯科大学名誉教授。1970年東京歯科大学卒業、 1974年ミラノ大学医学部薬理学研究所客員研究員、 1976年学位受領(歯学博士)東京歯科大学、 1991年東京歯科大学病理学講座主任教授、 1998年東京歯科大学学監、2005年 FDI(世界歯科連盟)理事、 2011年東京歯科大学定年退職。

著書(近刊)「新編治癒の病理、臨床の疑問に基礎が答える」(単著:医歯薬出版)、 「やさしい治癒のしくみとはたらき」(単著:医歯薬出版)、 「歯肉を読み解く」(共著:医歯薬出版)、 「新版口腔外科・病理診断アトラス」(監修・共著:医歯薬出版)、 「下野先生に聞いてみた①ペリオ・インプラントの疑問に答える、指針がわかる」(単著:クインテッセンス出版)、 「新口腔病理学 第2版」(編集・共著:医歯薬出版)、「下野先生に聞いてみた②エンドの疑問に答える、指針がわかる」(単著:クインテッセンス出版).